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目時 直人; 山内 宏樹; 松田 雅昌*; Fernandez Baca, J.*; 吉田 雅洋*; 吉澤 英樹*; 萩原 雅人*; 綿貫 竜太*
no journal, ,
NdBの磁気構造と電子状態を報告し、逐次転移のメカニズムを提案する。II相では面内磁気モーメントを伴うAll-in All-out構造(4)と、軸モーメントの反強磁性ダイマー構造(10)が共存し、さらに低温のIII・IV相ではの長周期変調を伴う。ランダウ理論による解析からがの高次()の誘起秩序変数として表現され、多極子相互作用が示唆される。NdBの電子状態は基底状態(=5/2)の3meV上に=7/2の第一励起が存在し、これらによる準四重項状態を使って(1)中間相はの磁気秩序相、(2)低温相はと電気四極子の結合相、という逐次転移のメカニズムが提案できる。
神戸 振作; 服部 泰佑; 酒井 宏典; 徳永 陽; 松田 達磨*; 芳賀 芳範; Walstedt, R. E.*
no journal, ,
NMR核であるSi同位体を52%濃縮した高品質のYbRhSiを作成した。Si同位体の自然存在比は、4%程度なので、この濃縮により測定積算時間を100分の1程度に短縮できる。この単結晶試料を用いて、NMRスピンエコー減衰の測定を行った。減衰曲線には、通常のGauss型, Lorentz型の減衰に加えて、明確な振動項が現れた。これはRK相互作用と擬双極子相互作用によるものと考えられる。この振動数には低温で大きな温度変化も見られた。これはFermi面が温度依存していることを意味する。これらの振る舞いについて議論する。
大西 弘明
no journal, ,
磁場中フラストレート強磁性鎖のスピンネマティック状態において、マグノン対がどのように伝播するのかを、時間依存密度行列繰り込み群を用いて解析した結果を報告する。マグノン対の流れによるスピン伝導・熱伝導のメカニズムを議論する。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*
no journal, ,
加速器質量分析では、測定目的核種である希少核種とこの安定同重体とを分別させることが必須の技術である。我々は、コヒーレント共鳴励起を基にした同重体分別法の開発過程において、イオンチャネリング自体も同重体分別に有用であることを着想した。本研究では、ディグレーダー用非結晶薄膜を結晶薄膜に置き換えイオンチャネリング状態を生成することで、両者のエネルギーの差を十分作ることのできる比較的厚い膜でもビーム広がりが抑えられ分別能力が向上することを明らかにした。
甲斐 健師; 米谷 佳晃*; 横谷 明徳*
no journal, ,
放射線によるDNA損傷の研究は突然変異やがんが誘発され得る初期要因を知る上で重要である。近年、水和前電子が解離性電子移行により塩基損傷を誘発することが実験により明らかになった。従来のシミュレーション研究ではこの効果は考慮されておらず、低エネルギー電子による解離性電子移行を考慮した動的モンテカルロコードを開発した。このコードを用いた解析から、水和前電子がDNA損傷の複雑化に大きく寄与することを明らかにした。さらに、水和前電子によるDNA損傷の形成をより詳細に予測するため、動的モンテカルロコードと分子動力学法を組み合わせ、水和前電子の生成プロセスを解析する新しい計算手法の開発を行っている。本講演では、これらの計算手法開発の現状について報告する。
芳賀 芳範; 松本 裕司*; 立岩 尚之; 山本 悦嗣; 仲村 愛*; 本多 史憲*; 青木 大*; 山上 浩志*
no journal, ,
六方晶URhGeは一軸異方性を持つ強磁性体である。反転中心を持たない構造であり、強磁性状態での電子状態に興味が持たれる。dHvA信号を全角度領域で検出し、スピン分裂した多数のブランチが検出されている。参照物質としてのThRhGeと比較し電子状態を議論する。
鎌田 裕生*; 浅井 雅人; 塚田 和明; 佐藤 哲也; 豊嶋 厚史; 永目 諭一郎; 水飼 秋菜; 富塚 知博*; Andreyev, A. N.; 西尾 勝久; et al.
no journal, ,
Npにこれまで知られていない核異性体が存在することを初めて発見した。Npは、原子力機構タンデム加速器を用いて合成された。短寿命核反応生成物をオンライン同位体分離装置ISOLで質量分離し、Npの崩壊に伴って放出される線及びX線を観測した。半減期は約9分と決定され、核異性体遷移に加えてEC崩壊することも明らかとなった。観測された線やX線及び半減期の値から、Npの準位エネルギー、スピン・パリティ、陽子-中性子軌道配位を推定した。
藤森 伸一; 小畠 雅明; 竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 藤森 淳; 山上 浩志; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 大貫 惇睦*
no journal, ,
角度分解光電子分光(ARPES)は物質のバンド構造やフェルミ面を実験的に導出できる実験手法であるが、我々は、二つの光電子放出角度と入射光エネルギーの3つのパラメータをすべて掃引することによって、完全に3次元的な電子状態を測定する3D-ARPES法を開発した。今回、この実験手法を常磁性状態の重い電子系超伝導体UPdAlに対して適用を行って、その完全な3次元電子構造を明らかにすることを試みた。UPdAlは重い電子系超伝導体であり、比較的大きな磁気モーメントを持つ反強磁性相と超伝導相が共存することから、磁性と超伝導の関係を理解する上で興味深い物質系である。今回、=580-685eVの入射光を用いた3D-ARPESの実験を行った結果、U 状態に起因した明瞭なバンド分散が観測された。バンド計算との比較も示しながら、UPdAlの常磁性電子状態について詳細に議論する。
熊田 高之; 阿久津 和宏*; 大石 一城*; 森川 利明*; 河村 幸彦*; 佐原 雅恵*; 鈴木 淳市*; 鳥飼 直也*
no journal, ,
水素核偏極装置をJ-PARC偏極中性子反射率計SHARAKU(BL17)に組み込み、高分子薄膜試料のスピンコントラスト反射率測定を行った。結果、水素核偏極度20%において最大10倍程度異なる非相似の反射率曲線2本が得られた。2本の曲線を同一の構造因子をもちいて解析したところ、薄膜試料表裏2面の面粗さを一意に決定することに成功した。当日の発表ではこれらの成果を報告するとともに、実験から明らかになった今後改良すべき点について言及する。
横田 光史
no journal, ,
交換相互作用と双極子相互作用を含む強磁性体において、一軸異方性と双極子相互作用の相対的大きさによって、どのような基底状態が現れるかを調べる。時間依存ギンツブルグ=ランダウ方程式の解析から基底状態の相図を近似的に求める。ランダウ=リフシッツ方程式の数値解から、秩序状態をより詳しく調べる。
今井 正樹; 緒方 裕大; 中堂 博之; 小野 正雄; 針井 一哉; 松尾 衛*; 大沼 悠一; 前川 禎通; 齊藤 英治
no journal, ,
フェリ磁性体において副格子の磁化が打ち消しあい正味の磁化がゼロになる温度を磁気補償点と呼ぶ。これに対し副格子の因子がそれぞれ異なる場合、副格子の角運動量が打ち消し合う角運動量補償点が別に存在する。この角運動量補償点では磁化反転の高速化が期待され、高速磁気デバイス材料としても興味がもたれている。われわれは角運動量と直接作用する外場である回転場(Barnett効果)を用いて希土類ガーネット磁性体の角運動量補償温度を直接観測することに成功した。
竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 山本 悦嗣; 芳賀 芳範
no journal, ,
強磁性超伝導体として注目されているUGeに対して、元素選択的な強磁性秩序過程を調べるためにU N吸収端およびGe L吸収端での内殻吸収磁気円二色性(XMCD)の実験を行った。温度・磁場の変化に対して、吸収(XAS)スペクトルおよびXMCDスペクトルの形状は変化しなかった。そして、XASスペクトルの形状からUGeにおけるU 5f電子数はほぼ3であることが分かった。一方、XMCD強度については、強磁性転移温度52K以下で急激に増大する様子が観測された。さらにUサイトとGeサイトでの磁化曲線の温度依存性を詳細に調べてみると、両者で異なる温度依存性を示すことが分かった。このサイトによる磁化過程の違いは、30K近傍にある二つの異なる強磁性相間の転移との関連を示唆する結果であり、元素選択的な研究でしか得られない重要な情報である。
社本 真一; 伊藤 孝; 大西 弘明; 松浦 直人*; 赤津 光洋*; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 樹神 克明; 河村 聖子; 根本 祐一*; et al.
no journal, ,
YFeOの高エネルギーのマグノン分散について、その強度分布を含めて簡単なモデルでの計算によるシミュレーションと比較した。
小浦 寛之
no journal, ,
最近改良した崩壊の大局的理論(H. Koura et al., PRC95, 2017)およびKTUY質量模型の核分裂障壁計算(H. Koura, PTEP2014, 2014)を用いて重・超重核領域の崩壊遅延核分裂確率の系統的計算を行う。その結果中性子過剰核の未知核種領域で例えばNo付近およびDs付近を中心とする領域で崩壊遅延核分裂確率が大きくなる傾向があることがわかった。この領域はr過程の関連でみると、r過程が中性子捕獲から崩壊に転じて安定核に崩壊を進める過程、いわゆるフリーズアウト時の崩壊経路に当たる。このような傾向は主に核分裂障壁の高さの高低の傾向が主要な要素であるが、これは核分裂の模型計算(FRDM, ETFSIなど)によりその様相は大きく変わることもわかった。本講演では本計算の手法の概要及び結果について報告する。
吉井 賢資; 野村 拓司*; 池田 直*
no journal, ,
われわれが発見した強誘電体RFeOは、330K以下でFeとFeが三角格子上で電荷整列することに由来する強誘電性を発現する。また、250K以下で鉄スピンがフェリ磁性を示すマルチフェロイック系でもある。しかし、この系の性質は未だに不明な点が多い。例えば、YFeOで示されたように、温度によって電荷秩序状態が変化し、強誘電性を示す三角格子上の3倍周期構造のみならず、7倍周期のような構造が出現する。本研究では、その長周期秩序の微視的な起源を探るべく、RFeOの基底状態を平均場近似の範囲で解析した。強誘電性を伴う3倍周期の電荷秩序構造の他に、均一な電荷分布状態、2倍周期などの秩序解を調べた。その結果、確かに3倍周期構造が安定になる領域、強誘電的領域が見出される。ただし、実験から主張されるような3倍周期でかつ鉄層間で電荷が不均衡となる基底状態を見出すことはできなかった。すなわち、3倍周期電荷秩序を伴う強誘電性が発現するには、格子歪みなど他の要素が影響している可能性も示唆される。
三浦 昭彦; 宮尾 智章*
no journal, ,
J-PARCリニアックでは、利用運転前に必要なビーム調整に、ビームプロファイルモニタを用いたビーム形状の測定を行っている。しかし、ビーム電流の増加につれて、従来の炭素繊維ワイヤでは、破断等による問題が増えてきた。そこで、高い電気伝導度を持ち、無酸素状態で3000Cという熱的耐久性もあるカーボンナノチューブ(CNT)に着目した。直径100mのCNTワイヤによる3MeVの負水素イオンビームのビームプロファイル測定し、炭素繊維線と同等以上の信号利得があることを確認した。また、ビーム照射後の表面観察の結果、ワイヤに損傷が見られなかったことから、プロファイルモニタ用ワイヤとしてビーム調整に使用できる見込みを得た。
守屋 克洋; 原田 寛之; 三浦 昭彦; 二ツ川 健太*
no journal, ,
大強度線形加速器では、ビーム位相幅(縦方向分布)を測定するためにバンチシェイプモニタ(BSM)を用いる。BSMはビーム通過位置にワイヤを挿入することでビームと同じ時間構造を持つ2次電子を生成し、高周波電場を用いて2次電子の縦方向分布を横方向分布に移すことでビーム位相幅を検出する。しかし、大強度ビームを測定する際、ワイヤがビームの熱負荷に耐え切れず断線する。そこでワイヤの代わりに、ビーム構造を持つ電子を非破壊に生成する残留ガスプロファイルモニタ(IPM)の技術に着目し、BSMとIPMを組み合わせた非破壊型縦方向ビームプロファイルモニタを考案した。
原田 寛之; Saha, P. K.; 田村 文彦; 明午 伸一郎
no journal, ,
大強度陽子加速器J-PARCにおける3GeVシンクロトロン(RCS)は、設計出力1MWの大強度陽子加速器である。このRCSで3GeVまで加速された陽子ビームは、リング内の8台のパルスキッカー電磁石で取り出しラインへ導かれ、物質生命科学実験施設や後段の加速器へ供給されている。しかしながら、この電磁石の電磁回路的なリンギングにより時間的な磁場変調を生じており、取り出しビームが5mm以上大きく変動していた。この変動は、中性子源標的の故障リスクの増大や後段加速器のビーム損失の増大を生じ、大きな課題であった。特別な短パルスビームと各電磁石のタイミングスキャンを行い、取り出しビームの位置変動特性を測定することで、この磁場変調を実測し把握した。それを用いて各電磁石の磁場変調を抑制する最適なタイミングを求め、適用することで装置の改造を行うことなく要求以上の1mm以下のビーム取り出し変動を実現した。さらにタイミングのずれを自動で測定し補正するシステムを導入し、安定化も実現した。本発表では、パルスキッカー電磁石で生じた課題を紹介し、ビームの実測データを用いた原因の特定や解析手法、補正手法とその結果などを報告する。
林 直樹
no journal, ,
安定的な加速器の運転を継続するには、インターロック時のイベントを収集、分析することで、本質的な原因を明らかにし、その対処を行う必要がある。J-PARCリニアックでは、インターロック発報時の電流モニタ、ビームロスモニタの信号を記録し、そのパターンを分類し、個々の対策を検討中である。RCS(Rapid-Cycling Synchrotron)では、新しいBPM回路の導入により、インターロック発報時の電流モニタ、ビーム位置モニタの記録を目指しており、今後の展望について発表する。
吉本 政弘; 岡部 晃大; 原田 寛之; 金正 倫計; 加藤 新一*
no journal, ,
J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では1MWの大強度陽子ビームを実現するために、荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。従来のセプタム・バンプ電磁石のみを使ったビーム多重入射方式に比べてセプタム境界面でのビーム損失はほとんど起こらないため、原理的には多重入射する回数に制限は存在しない。しかし、詳細な残留線量測定の結果、荷電変換フォイルの周辺に非常に強い残留線量があることが分かった。PHITSシミュレーションの結果は、この強い放射化の原因が荷電変換方式ビーム多重入射時に、入射ビーム及び周回ビームが荷電変換フォイルに衝突することで起こる核反応による2次粒子によって引き起こされていることを強く示唆していた。このことを明らかにするために、フォイルからの2次粒子計測が重要になってくる。しかし、RCSの入射部は様々な機器が配置されている複雑な系になっているため、純粋にフォイルからの2次粒子を実験的に観測することは困難である。そこで、100度ダンプラインに新たにフォイル導入装置を設置し、2次粒子計測に必要な単純な実験系を構築した。ここでは、2次粒子の直接計測と金属薄膜を用いた放射化法による計測の2種類を計画している。まずは金属薄膜による放射化法で2次粒子種及びエネルギー分布の同定に向けた検討についてPHITSコードを用いて行った。この放射化法の有効性に関する評価結果について詳細に報告する。